蜜璃がほめているのは、通常であれば気性の荒さや、孤独さなど、一見するとマイナスの要素だ。しかし、蜜璃は冗談でも嫌みでもなく、他の柱の「柱らしい性格」、言いかえるならば、戦闘に日々集中している彼らを「素敵だ」と評価している。これには、蜜璃自身が柱であること、そして彼女の鬼殺隊入隊の動機が関連している。
■蜜璃の鬼殺隊入隊の動機
蜜璃は、炭治郎に入隊の動機を聞かれた時、こんなふうに答えている。
<ん?私?恥ずかしいな~ えーどうしよう 聞いちゃう? あのね…添い遂げる殿方を見つけるためなの!!>(甘露寺蜜璃/12巻・第101話「内緒話」)
蜜璃は決してふざけて言っているわけではなかった。彼女は、通常の人間の8倍の筋力、成人男性をしのぐ腕力を持ち、相撲取り3人分以上の食事量をとった。髪と目の色が特殊な変化をしたこともあいまって、見合いで手厳しい言葉をあびたことがある。彼女は、自分が自分らしくあるために、そしてその恵まれた肉体を「他者を守るため」に使おうと、鬼殺隊に入隊したのだった。
■恋に憧れる蜜璃
蜜璃は、自分の強さで他者を守りたいと考える一方で、同時に「普通の女の子」として、自分のことを愛してくれる誰かがいるのではないかと、「恋に憧れて」いた。強すぎる自分をそのままでいいよ、と言ってくれる相手がいるのではないかと、日々、鬼殺の任務に励みながらも、新しい出会いを待ち焦がれていた。蜜璃はいつも前向きで明るい。
<誰か来たのかしら 何だかドキドキしちゃう>(甘露寺蜜璃/12巻・第100話「いざ行け里へ!!」)
初登場シーン以降、蜜璃はたくさんの男性にドキドキしてきた。それだけでなく、蟲柱・胡蝶(こちょう)しのぶにすらも、キュンとしている場面がある。甘露寺蜜璃はまだ本当の恋のときめきを知らない。
■蛇柱・伊黒小芭内の恋心
そんな蜜璃に、蛇柱・伊黒小芭内(いぐろ・おばない)は、以前からひそかに恋心を抱いていた。伊黒の気持ちは真剣そのものであったが、彼は、自分が強盗一家を出自に持つことを恥じていた。さらに伊黒の一族は、「蛇鬼」の支配と助力によって、財を成していた。