<甘露寺 俺は 人を殺して私腹を肥やす 汚い血族の人間なんだよ><屑の一族に生まれた俺もまた屑だ 背負う業が深すぎて 普通の人生は歩めなかった>(伊黒小芭内/22巻・第188話「悲痛な恋情」)
そんな伊黒の願いは、「何げない日常で」蜜璃と出会うことだった。そんな自分の願いを、伊黒は自嘲気味に「いや 無理だな 俺は」と否定する。伊黒は蜜璃に告白するつもりはなかった。
<まず一度死んでから 汚い血が流れる肉体ごと取り替えなければ 君の傍らにいることすら憚られる>(伊黒小芭内/22巻・第188話「悲痛な恋情」)
■伊黒と蜜璃の交錯する思い
見合い相手にののしられ、自分の魅力に自信がない蜜璃と、親族の女性たちに監禁され殺されかけた伊黒。彼らは文通をし、任務の間に、たまに一緒に食事をするくらいの関係だった。しかし、蜜璃は伊黒に少しずつひかれていった。伊黒の前の蜜璃は、なんのうそもない「本当の自分」だった。
<伊黒さんと食べるご飯が一番美味しいの だって伊黒さん すごく優しい目で 私のこと見ててくれるんだもん>(伊黒小芭内/23巻・第200話「勝利の代償」)
しかし、伊黒は、無惨との最終決戦で大きな傷を負った蜜璃を救った後、恋心も告げぬままに戦闘に戻ろうとする。そんな伊黒に蜜璃は「待って!!私も行く!!伊黒さん 伊黒さん嫌だ 死なないで!!」と叫んだ。それでも伊黒は振り返らない。心の中で、自分の気持ちをそっとつぶやくだけだった。
<もう一度人間に生まれ変われたら 今度は必ず 君に好きだと伝える>(伊黒小芭内/22巻・第188話「悲痛な恋情」)
■蜜璃と伊黒の「本当の恋」
鬼舞辻無惨との戦いは、大きな被害をもたらした。甘露寺蜜璃も、伊黒小芭内も最後まで死力を尽くし、戦いきった。勝利の後、彼らは残された短い時間の中で、最期の言葉を交わすことになる。
<あの日会った君が あまりにも普通の女の子だったから 俺は救われたんだ>(伊黒小芭内/23巻・第200話「勝利の代償」)