聖火リレーのゴール地点には大勢の人が押し寄せた=6月6日、山形県米沢市、桐島瞬撮影
聖火リレーのゴール地点には大勢の人が押し寄せた=6月6日、山形県米沢市、桐島瞬撮影
聖火リレーを見ようとたくさんの人が集まった。大会組織委員会は密の定義を「肩が触れ合う程度」とし、悪化した場合はスキップするとしている=6月6日、山形県米沢市、桐島瞬撮影
聖火リレーを見ようとたくさんの人が集まった。大会組織委員会は密の定義を「肩が触れ合う程度」とし、悪化した場合はスキップするとしている=6月6日、山形県米沢市、桐島瞬撮影
聖火リレーを盛り上げるスポンサーの車両=6月6日、山形県米沢市、桐島瞬撮影
聖火リレーを盛り上げるスポンサーの車両=6月6日、山形県米沢市、桐島瞬撮影

 3月25日に始まった東京五輪の聖火リレーも終盤に突入している。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために大会組織委員会では「密」対策を講じているものの、現状では人だかりを防げているとは言い難い。6月29日から聖火リレーは人口が密集する首都圏に入るが、どう対応するのか。

【コース周辺にはびっしりと人が集まり…写真の続きはこちら】

 6月6日に聖火リレーが行われた山形県米沢市(人口約8万人)では、日曜日で天候にも恵まれたことから沿道に多くの人が押し寄せた。

 コースとなった上杉神社前から市営体育館までの約2.2キロの区間では、聖火リレーがスタートする直前に五輪スポンサー企業の宣伝車が大音量で音楽を鳴らすなどして盛り上げる。ランナーがスタートする頃にはコース周辺はびっしりと人で埋まり、ゴール付近には何重もの人だかりができた。3千人以上が集まった見られる。

 スタッフが「間隔を空けて観覧、マスクの着用、拍手による応援」と書かれたボードを掲げるが効果は薄く、観衆の中にはマスクをあごにかけている人もいた。

 家族連れで見に来ていた地元在住の70代の女性は、1964(昭和39)年の東京五輪のときの華やいだ聖火リレーが頭を離れず、

「あのときの光景をもう一度体験したくて家族で見に来た」

 と話した。

 組織委が聖火リレーで「密集」が発生したと判断するのは、肩が触れ合うか、十分な間隔を空けずに複数列に重なり合った状態。密集が生じ、観衆に注意指導をしても解消されないときは、その区間のリレーをスキップすることを検討するとしている。

 だが、組織委が密集と認識した3月28日の栃木県足利市でも中断はしておらず、米沢市のケースは密集とも判断されなかった。

 今後も、休日に開催されて天候が良いなどの条件がそろえば密状態が生じることも考えられるが、特に人出が予想されるのは人口が3千万人を超える1都3県のルートだ。聖火リレーは6月28日に神奈川に入り、その後、千葉、埼玉、東京などを走る。特に五輪開催都市となる東京では、7月9日から23日まで15日間かけて全62区市町村を駆け抜けるだけに、どれだけの観衆が押し寄せるのか予想がつかない。

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「密になるな」は効果がない