東京都の担当者は、観衆の規模は想定していないとした上で対策をこう話す。

「青梅街道など幹線がコースになっている場合は、上下線の交通を封鎖して観衆用のスペースを広く設ける。リレーの走行区間も6キロまでと長めに設定することで人の集まりを分散し、密にならないようにする。聖火リレーの様子はインターネットのライブストリーミングで配信するので、そちらを見るようにも働きかけたい」

 一方の組織委は、

「今まで安全に運用してきた密対策やその他運営ノウハウを活用する」

 として、東京都と協議を重ねながら準備を進めていく方針だ。

 果たして密は防げるのか。新潟青陵大学大学院教授で社会心理学が専門の碓井真史氏は、新型コロナウイルス感染のリスクがありながら人が密集する心理や、密回避のための有効なメッセージについてこう話す。

「緊急事態宣言や景気の悪化など暗い話題が多い中、地元の青空の下を笑顔で走る聖火リレーの健康的なイメージに引かれて人が集まるのだろう。密状態を作らないためには『密になるな』のような聞き飽きた内容では効果がなく、『無事に五輪を迎えるためにも、人だかりができていたら見物は自重しましょう』といった前向きなメッセージが必要だ」

(ジャーナリスト・桐島瞬)

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