■怖いけど、合格したい! 

 『ミカンの味』の主人公たちは、考え悩みながらも“選択”をして成長していく。自ら考え、行動するそのしなやなか強さに、読みながらエールを送りたくなる。中学時代のりかりこも、自ら考え、行動したことはあるのだろうか。

りこ:オーディションを受けたのが14歳で、ちょうど中学生のときでした。ずっと三重にいて、そこから出たことがなくて。オーディションは、名古屋。お父さんから「仕事で一緒に行けない。2人だけで行けるんだったら、がんばっておいで」って言われました。

りか:何か、ちょっと怖いしなぁ。でも、合格したいしなぁ、っていう気持ちが強くて。

りこ:2人だけで初めて電車を乗り継いで、名古屋に行きました。そこに行っていなかったら、自分たちは今、ここにおらんから。

りか:ギリギリまで、行くか行かんかで悩んで。でも、「これ逃したらダメやな」って2人とも思ったことが背中を押したんやと思います。自分たちで考えて行動……一歩踏み出して、ほんまによかったです。

りこ:これからやりたいことは、洋服のブランドを立ち上げることです。昔から、双子やから色違いの洋服を着せてもらえたり、オシャレを楽しませてもらえたりしたのが大きいかも。今も買い物は、2人一緒にしてます。

りか:店舗には一緒に行くけれど、声を掛けられることが増えたので、店舗内では別々に行動して、お会計のときに合流したら、同じ洋服が何枚かあることがよくあります。

りこ:似たような背丈だし、洋服も同じだからね。マスクをしているから、目元だけ見えているから、「あれ双子? りかりこ?」って二重見されます。

りか:『ミカンの味』を読んで、10代のころに誰もが通る友人とのギクシャクした関係や、それでも一緒にいようとする努力……甘酸っぱいものがこみ上げてきました。

りこ:中学時代に読むのももちろんいいけれど、それよりもかつて学生だった“大人の方”にもオススメです。少し時間が経ってから読むと、私たちのように「こんなことがあったなぁ」と、少し懐かしい気持ちを振り返ることができるんじゃないかと思います。

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