清水でプレーしたユングベリ(写真/gettyimages)
清水でプレーしたユングベリ(写真/gettyimages)
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 抜群のポジショニングからの冷静なフィニッシュ――。今季、浦和レッズに新加入したデンマーク出身のFWキャスパー・ユンカーが、5月9日のリーグ戦デビューから4試合連続5ゴールの大活躍を見せた。初夏のJ1を舞台に“美しき北欧旋風”を巻き起こしている。ここで改めて刮目したいのが、北欧出身のJリーガーたち。過去、人数こそ多くはないが、個性豊かな実力者たちが来日していた。

 日本でプレーしたデンマークの英雄と言えば、ミカエル・ラウドルップだ。ラツィオ、ユベントスの後、クライフ監督率いるバルセロナの「ドリームチーム」の中心として活躍し、移籍したレアル・マドリードでも優勝に貢献。代表チームでは弟ブライアンとの「ラウドルップ兄弟」として名声を博した。この世界的名手が1996年夏に「少し落ち着いた環境でプレーしたかった」と当時JFLのヴィッセル神戸に入団。8月のデビュー戦での2ゴールを皮切りに、卓越したテクニックから一級品のプレーを随所で披露し、リーグ戦12試合5ゴールの活躍を見せてJ昇格に貢献した。

 だが、翌97年は4月に負傷離脱すると、そのまま復帰することなく退団。在籍1年で、カップ戦を除くとJリーグでは出場3試合のみという期待外れの結果となった。ただ、ラウドルップのプレーに学んだ永島昭浩が同年22ゴールをマークするなど周囲への影響力は大きく、彼に憧れていたイニエスタが20年以上の時を経た今、神戸でプレーしているという因果を考えると、改めて感謝すべきだろう。

 もう一人の大物が、フレドリック・ユングベリだ。豊富な運動力と抜群の切れ味、強い推進力でピッチを切り裂くアタッカー。プレミアリーグ無敗を成し遂げたアーセナル「インヴィンシブルズ」の一員であり、スウェーデン代表として3度の欧州選手権と2度のW杯に出場した男だ。2011年8月に清水エスパルスと契約を結び、「3.11の被災者の方々を勇気づけたい」と日本でのプレー決意して来日した。

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ユングベリは期待こそされたが…