「それと同時に『またか』とも呆れ返りました。あまりにもこうした場面に立ち会うものですから。私を言い負かそうとする必死さもあったのかもしれませんが、性交同意年齢を引き上げたくないという、その一心だったように感じます。『先進国では逮捕されるんじゃないですか』と答えた後、他の質問が少しあったかもしれませんが、本多議員の発言のショックでよく覚えていません。まもなく『もうお時間です』とZoomを閉められました」(島岡教授)
本多議員が、真摯に講師の話に耳を傾けようとしていたのかは、疑問が残るだろう。また、本人のそうした態度が意図した結果ではなかったとしても、免罪符になるどころか、そこに今回の問題の本質が隠されていると島岡教授は指摘する。
「本人(本多議員)からしたら、怒鳴った意識はないと思います。それこそが問題なのです。男女間に限らず、権力関係がある場合、弱い者に対して強圧的な態度を取っていることを意識することができていない。自分では怒鳴っているつもりはなくても、相手を委縮させるような態度を無意識で取ってしまう。そういった態度に思えました」(島岡教授)
翌日、島岡教授はWTの座長である寺田学衆院議員から謝罪のメールを受け取ったそうだ。それに対して島岡教授は、「ジェンダー平等推進本部を立ち上げ、表向きに発信しているからにはそれなりの対処をするべき」と意見を述べた。しかし、不適切な発言がメディアで取りざたされるまで、実に1カ月が経過していた。
「党として問題視していなかったのでしょう。WTが性交同意年齢の引き上げを求める中間報告を一度は見送った(が最終的には法務部会で承認された)背景に、党内の強い反発があったとも聞いています」(島岡教授)
そもそも50代の大人と14歳の子どもとにおける「同意」は、成立し得ないと島岡教授はいう。
「主従関係や権力関係などの明らかな力の差だけでなく、年齢差がある場合も、表面的に同意しているように見えても、客観的には性的搾取です。被害者本人でも、自分の意思で同意していると思い込んでしまうこともあります。国が性的搾取の被害から保護していくことは、先進国では当たり前のこと。日本は13歳未満にとどめて、『真摯な恋愛』と主張するのは、世界からみて、幼児婚がある国と変わらないと言ってもいいほど」