→キセルの頭の部分を表す言葉が人にも用いられた
「雁首」とはもともと、喫煙道具のキセルの頭の部分のことです。形が鳥の雁の首に似ていることから、そうよばれるようになりました。転じて、人の頭や首を軽蔑的によぶ言葉になり、人が集まったり出そろったりすることを俗な言い方で、「雁首をそろえる」というようになりました。
「雁字搦(がんじがら)め」
→巻きつけた紐や縄が列をなす雁を思わせる
雁が整然と列をなして飛ぶ様子を、文字に見立てて「雁字」といいます。紐や縄を上下左右から幾重にも巻きつけることを「雁字搦め」というのは、巻きつけた紐や縄の様子が雁字に似ているためといわれています。また、「動かないように固く締める」という意味の副詞を「がんじ」といい、「雁字」は当て字とする説もあります。
「丁寧」
→警戒や注意を兵士に伝える楽器
かつて中国の軍隊で、兵士たちに対して警戒や注意を促すために使われた楽器を「丁寧」といいます。そこから、注意深く念入りであることや、細かい点にまで注意が行き届いていることの意味になり、さらに礼儀正しいことなども表すようになりました。
「図に乗る」
→仏教の声明における転調がうまくいく
ここでの「図」は、仏教の僧が唱える声明(しょうみょう)の転調のことです。この転調は難しく、うまくいくことを「図に乗る」といいました。そこから、声明の転調に限らず広く調子づくことを表すようになり、いい気になってつけあがるなどの悪い意味になりました。
「ぶっきらぼう」
→愛嬌がないことを、飾り気のない棒にたとえた
乱暴に切った木の切れ端という意味の「ぶっ切り棒」が変化した言葉といわれています。その棒は、飾り気のない単なる棒なので、愛嬌がなく、素っ気ないことを表すようになりました。また、「ぶっ切り棒」は、水飴を引き伸ばして棒状に切ったものだとする説もあります。「ぶっ」は「ぶっ飛ばす」などと同じように、動詞につけて意味や語勢を強める接頭語です。