「てこずる」
→梃子がずれて重いものを動かせない

漢字では「梃子摺る」や「手子摺る」と書きます。「梃子」を使って重いものを動かそうとした際に、梃子がずれてうまくいかない様子から、思うようにことが運ばずに苦労することを「梃子摺る」というようになったといわれています。また、手助けする人のことを「手子」といい、そのような人を煩わせることが由来とする説もあります。ほかに、手の甲がすれる意味から転じたともいわれています。

「とばっちり」
→水しぶきを受ける様子から まきぞえの意味に

漢字で書くと「迸り」で、「とばちり」ともいいます。同じ漢字で飛び散る水しぶきという意味の「迸(とばし)り」が変化した言葉で、水しぶきを受けることがもともとの意味です。そこから、そばにいたために本来受けなくてもいいはずの災難をこうむること、まきぞえなどの意味になりました。

「敬遠する」
→「敬って近づかない」ので「敬」の字を用いる

面倒なことや、嫌なことを「避ける」という意味でよく使われる言葉ですが、なぜ「敬」の字が用いられているのでしょうか。もともとは、『論語』の「鬼神を敬してこれを遠ざく」に由来する言葉で、「敬いながらも近づかない」という意味でした。それが「うわべでは敬意を表しながら実際には近寄らない」という意味に変わり、さらに「敬い」とのつながりがなくなっていき、もっぱら単に「避ける」の意味で使われるようになったのです。

「反故(ほご)にする」
→「一度使った紙」から転じて、不要なものの意味に

「反故」は「反古」とも書き、もともとは「一度使った紙を裏返す」という意味の漢語です。古くは「ほうぐ」「ほうご」「ほぐ」「ほんぐ」「ほんご」とも読まれ、近代以降に「ほご」というようになったとされます。日本語でも書画などを書き損なって、いらなくなった紙という意味があります。そこから、不要なものや役に立たないもの、さらには無効、取り消しなどの意味になり、無駄にすることや約束を破ることを「反故にする」というようになりました。

「案内」
→文書や文案の内容から広く事情や内情の意味に

「案」は机のことで、ここでは官庁の文書を表し、「内」は内容のことで書き写しや下書き、草案の意味があります。つまり、もともとは文書や文案の内容という意味で、今も国語辞典には記載されています。そこから、広く事情や内情の意味になり、それを問い合わせたり知らせたりする意味も加わって、「人を希望の場所に導いていくこと」「人に説明したりしながらある場所を見せる」という意味になりました。

文/美和企画
※『みんなの漢字』2017年1月号から

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