まぁ、僕が自分の意見をガンガン言うほうだったからかもしれないのですが(笑)。だから、麻央さんとはとても合っていましたよね。僕は、“四時会議”では机のたたき合いみたいな時もあった。麻央さんはそういうのは全くなくて、3年半ご一緒させていただきましたが、1回たりとも“あぁ嫌だな”とか感じたことも思ったこともない。

 麻央さんはテレビの画面を通して見るとものすごく映えるし、きれいな方だし、僕なんかよりもテレビの中で存在感があるのは理解しているけれども、スタジオで僕の右隣に座っていると全く存在感がなかった。“あ、麻央さん、いたんだ”ってそんな感じ。空気というか、いい意味で圧迫感がない。私の隣では存在を感じさせないんです。

 中国の古典にいい王様、悪い王様みたいなのを4段階に分けていて、一番いい王様はこの国には王様がいるんだってことを普段は感じさせない。そういう存在の王様が一番いい王様なんだという言葉があるんですが、麻央さんは、まさにそんな感じ。僕にとっては“あ、麻央さん、いたんだ”って。

 弱音を吐いたり、愚痴を言ったりすることもなかったし、考えてみたら親子ほど年齢が離れていたから言えなかったのかもしれないけれど、少なくとも僕にはそういう弱い姿は見せなかった。

――そんな麻央さんのオフな姿は?

 麻央さんなんかは若いし、一緒だった3年半にはいろいろなこともあっただろうけど、僕には一切そういうところは見せなかった。ただ、3年半で一度だけプライベートな麻央さんを見たことが。メイクルームで支度している時に、麻央さんの携帯電話が鳴ったんです。メイクの途中なのに慌てて携帯を握って、部屋を出て行ったことがあるんです。“恋人でもいるのかなぁ”って(笑)。それが唯一、ちょっとした人間味のあるところというか、あんなにゆったりおっとりしている麻央さんが慌てていた。そのあと、海老蔵さんとの婚約の話が出てきたから、あの時の携帯はそうだったんだと、勝手に思っています。そういうことに鈍感な僕でも(笑)“これは恋をしているのかな”と思った。それぐらいでした。麻央さんがプライベートな姿を見せたのは。

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がんになってから麻央さんの強さを感じるように