※写真はイメージです (GettyImages)
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(週刊朝日2021年7月2日号より)
(週刊朝日2021年7月2日号より)
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(週刊朝日2021年7月2日号より)
(週刊朝日2021年7月2日号より)

 子育てが終わり自由になる時間が増えた専業主婦なら、「共働き」を考えてみてはいかがか。本格的に働けば自分の年金が増え、稼いだお金を積み立て投資に回せば余裕資金も増やせる。折しも主婦の労働を妨げるとされてきた数字の「壁」は次々に崩れつつある。

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 東京都内に住む主婦Aさん(53)が言う。

「来年度から『戦略的主婦』を卒業しようと思っています」

「戦略的主婦」とは、Aさんの“造語”。あらゆる手段を駆使して「給与とその他の所得」を年間130万円以内に収め、夫の扶養から外れないようにすることを指す。

 少額ながら不動産所得があり、数十銘柄の株式も保有する。労働ではここ数年、派遣会社に登録してさまざまなスポット仕事をこなしてきた。それでも夫の扶養だから、健康保険は夫の会社の健保組合で、年金は専業主婦が多い「第3号被保険者」(以下、3号)のままだ。

 そんな立場を捨てて、来年度からきっちり雇用契約を結んで年収240万円を目指すという。

「夫婦で長生きしちゃったらどうしよう、って思い始めたんです。折しも年金の制度がどんどん変わり、もらい方も自分で選べるようになってきている。できれば私も、遅くもらって金額を増やす『年金繰り下げ』をしたい。それなら、まずは元になる年金額を増やさなきゃ、と思ったんです」(Aさん)

 派遣で行った複数の職場から、「長期で勤務していただけないか……」という誘いを受けている。それでも、私立高校に通う次男への国の就学支援金と都の授業料軽減助成金を来年度も獲得するため、すぐには動かない。「戦略的」を続け、始動はあくまで「22年4月」だ。

 共働き世帯が増え、専業主婦世帯が減り続けている。1980年代までは専業主婦世帯のほうが多かったが、92年に逆転し、それ以降は共働き世帯が増える一方だ。しかも、2010年代に入ってから両者の差の開きに拍車がかかっている。

 20年は共働き世帯1240万に対し、専業主婦世帯は571万世帯だった。ダブルスコア以上だが、今なお600万世帯弱に専業主婦がいる。また、Aさんは脱皮しつつあるが、働き方を調節して3号を維持している50代主婦も数多くいるとみられる。

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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