公明党にとって東京都議会議員選挙は特別な意味を持つ。
【写真】創価学会婦人部の怒りをかって議員辞職した公明党議員はこの人
1993年以降に実施された過去7回の都議選で、候補者全員を当選させるという記録を打ち立ててきたからだ。いわば、公明党にとって「絶対に負けられない戦い」が東京都議選なのである。
だが、今年はその流れが変わりそうな様相をみせている。公明党関係者はこう話す。
「今回の都議選では『最大7人落選』との予測も出ていて、記録更新どころか、過去最悪の事態になりかねない。巻き返しに必死ですが、いつもの勢いが感じられない……」
4年前の都議選と同様、公明党は今回も23人の候補者を擁立した。だが今月、公明党の機関紙「公明新聞」は「多くの選挙区でいまだに圏内に届かず、危機的な状況にある」と指摘。当落線上にある候補者として、中野区、目黒区、豊島区、荒川区、大田区、北多摩3区に出馬する6選挙区7人を顔写真付きで掲載した。「公明の全員当選は危うい」とも書かれていた。
実情はどうなのか──。
AERA dot.編集部は都議選で協力体制を敷く自民党都連の情勢調査を独自入手した。同調査では公明党は”劣勢”で、現有23議席は「14~23議席になる」と結論づけている。つまり、「最大7議席減」という予測はかなり現実的な数字ということなる。
4年前の都議選では小池百合子都知事が立ち上げた「都民ファーストの会」と連携し、“小池フィーバー”の恩恵を受ける形となった公明党。今回はその連携を解消して、再び自民党と組む形となり、3月19日に「政策協定」も締結した。この自公の「政策協定」も独自入手したが、その中身は「新型コロナ対策」「コロナ後を見据えた経済対策」「2020東京大会の開催」「災害対策」など新味のない漠然とした文言が並ぶ。
「『政策協定』という割には具体性にとぼしく、単なる地方自治体の行う施策を羅列したようだ内容ですね」(政府関係者)
自民党都連の最高顧問の深谷隆司氏はこう話す。
「公明党は前回、都民ファの方へ行ってしまいましたが、今回は自民党と完全に協力体制ができた。今回、公明党がこちらに戻るにあたっては、事前に相談や話し合いを繰り返しました。『政策協定』というのは、要するに、また仲が戻ったという証明みたいなもの。国政は自公連立政権なんですから、本来は一緒なんですよ」