タブレットは接種券に記載された番号などをタブレットのカメラで読み取るために配布されたものだが、正しく読み取れないトラブルが続出。接種券の番号の入力に時間がかかるため、使用を見合わせる自治体が相次いだ。
国へのワクチン要望も、VRSを通じて行うことになっていた。だが、明石市をはじめ、VRSを活用しなかった自治体がターゲットとなり、ワクチン供給が削減されているというのだ。
「国の回答では7月6日に加えて、19日分も供給数は約束できないと減らされることになりそう。8月に入れば要望を通すという。ワクチン接種は早いところもあれば、遅い自治体もあり、使ってない在庫がたくさんある。キチンと調整して配分すればいいだけの話。簡単なことを政府はなぜ、できないのか…」
泉市長の訴えに対し、「首長の怒りはもっともです」と政府関係者はうなずく。
「ワクチンの差配は正直、利権化されていて、実質的にそれを仕切る官邸は“ワクチンマフィア”と裏で呼ばれています。各県からの要望数量を認めたり、割り落としたり、どのように差配しているかは正直、ブラックボックス。VRSのボロタブレットで文句を言った自治体を含め、菅政権に従順でない自治体、更にリアルな話をすると、首長が自民党以外の自治体への配布を減らしたりといった恣意的な運用はあると聞こえてきます」
一方、自治体だけでなく、菅首相肝いりの職域接種も、一時停止されることが決まった。使用されているモデルナ製のワクチンが足らなくなったためだ。職域接種を予定していたある会社の担当者はこう嘆く。
「なかなか確保できない。医師や看護師をなんとかお願いし、場所もめどをつけた。やっと申請できると思ったら、申請中止という。これまで頑張ってきたのは何のためだったのか。医師や看護師に、どう説明すればいいのか」
その一方で<新型コロナウイルスワクチンの職域接種を開始 ワクチン接種に伴う特別有給休暇安心のワクチン接種>と充分過ぎるワクチンを確保し、職域接種をはじめた企業もある。