菅義偉首相と西村康稔経済再生担当相(C)朝日新聞社
 菅義偉首相と西村康稔経済再生担当相(C)朝日新聞社
この記事の写真をすべて見る
菅政権に物申す泉房穂・明石市長(C)朝日新聞社
菅政権に物申す泉房穂・明石市長(C)朝日新聞社

「菅義偉首相や官邸はめちゃくちゃや。打って打ちまくれというのに、ワクチンがありませんでは話にならへん」

【写真】「菅首相はめちゃくちゃ」と噛みついたのは、この人

 こう噛みついたのは、兵庫県明石市の泉房穂(ふさほ)市長だ。明石市は6月30日、新型コロナウイルスのワクチン接種の一部予約中止を発表。理由は、国からのワクチン供給が明石市のリクエスト数から大幅に減るためだ。

 明石市は7月6日に届く予定のワクチンについて47箱(5万4490回分)を求めていた。しかし、国からの回答は22箱(2万5740回分)。約3万回分のワクチンが不足となる。

 そこで泉市長は地元の選出でもある西村康稔経済再生担当大臣と東京で面談し、陳情したという。

「実は6月はじめから兵庫県選出の藤井比早之(ひさゆき)内閣府副大臣から『ファイザーのワクチンが足らなくなるかもしれません』と聞いたことがあった。明石市は希望者全員に9月末でワクチン接種を完了させる計画を立て、順調に進んでいた。それが急に政府からワクチンがありません、と通告され、驚いた。そこで西村大臣に直接、訴えたら『なんとか頑張ります』と口だけは言う。その前にも『ワクチンは本当に大丈夫ですか』と念押したら『大丈夫』と太鼓判を押していたのに…。私があまりに怒ったので、その後に西村大臣から電話がありました。『アイデアがあります。兵庫県か他の市町村に相談してはどうか』という。何を言うてますねん。菅首相は1日100万回、打って打ちまくれと記者会見で言ったでしょう」

 泉市長の怒りはなかなか収まらない。兵庫県では三木市、丹波市、丹波篠山市でワクチンが国から十分、供給されず、予約中止を決めている。

 明石市にワクチンが配分されなかったのは、国のワクチン接種記録システム「VRS」と関係があるという。

 AERAdot.で6月3日に既報したとおり、政府が接種状況をVRSに登録するため、全国の自治体に配布したタブレット端末が「ポンコツ過ぎる」と現場で使われない問題が生じた。

次のページ
政府のVRSを活用しなかった自治体が減らされた?