その企業の社員は数百人だが、トップは6月21日にSNSで<今週と来週の2週間で5000本のワクチンを確保。ワクチン接種を進めて安心安全は環境を作りましょね。河野さん、小林史明さん、お疲れ様です。(^^)/>(ママ)と記述。自身が接種を受けている写真を添付している。
文脈から河野太郎ワクチン担当相、ワクチン担当補佐官をさすとみられる。この企業の関連先のホームページをみると、河野大臣が講演していたり、小林補佐官は企業が関連するシンクタンクのメンバーになったりしていた。河野大臣と小林補佐官はこの企業とつながりがあるのだろうか。
「企業で講演をしていますが、ワクチンについて相談などはなかった。河野大臣はどこでもワクチン接種を推進しているので、その程度の話をしていた程度ではないか」(河野氏の事務所)
「この企業のワクチンの確保に関与したことはありません。講演やパネルディスカッションの要請に応じ、イベントに参加することがありますが、講演料等の受け取りはございません」(小林氏の事務所)
5000本を確保したとする企業にも取材を申し込んだところ、広報より以下の回答があった。
「ワクチン職域接種で河野氏・小林氏に要請・相談・依頼をした事実はございません。河野氏、小林氏が日本国民のために頑張っていらっしゃることに敬意を表し、『お疲れ様でした』と友人に対して代表が申し上げたものです」
東京五輪・パラリンピックを目前に控え、日本中で再び、ワクチン不足に陥っている状況が続いている。官邸関係者がこう話す。
「職域ワクチンの申請システムは、問題になった防衛省の大規模ワクチン接種会場の予約と同様、申し込む企業側が必要数を入力すれば、申請できてしまうお粗末システムになっています。本来の必要数の10倍を申請しても供給されているケースはザラ。余剰ワクチンが転売されたり、地下ルートで”ワクチンロンダリング”されているという噂もあります。1日100万回目標などのために見切り発車した菅政権の責任ですよ」
東京五輪開幕のゲームチェンジャーとされたワクチン接種の雲行きが怪しくなっているようだ。
(AERAdot.編集部 今西憲之)