旅行作家の下川裕治(しもかわ・ゆうじ)さん
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入管庁はコロナ禍で入庁制限。そこにミャンマー人が続々とやってくる。列は6月にはいり長くなった
入管庁はコロナ禍で入庁制限。そこにミャンマー人が続々とやってくる。列は6月にはいり長くなった

「おや?」と思って立ち止まる。そしてはじまる旅の迷路――。バックパッカーの神様とも呼ばれる、旅行作家・下川裕治氏が、世界を歩き、食べ、見て、乗って悩む謎解き連載「旅をせんとや生まれけむ」。今回は、在日ミャンマー人が置かれている状況について。

【写真】入管庁に並ぶ列は長くなっていた

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 日本の出入国在留管理庁は5月末、ミャンマー人に対する緊急避難措置を発表した。

 2月1日にミャンマーで国軍によるクーデターが起き、多くの住民が犠牲になっていた。その状況のなか、本来なら帰国しなくてはいけないミャンマー人に対して、滞在許可や働くことができるビザを発給する制度だった。同時に難民申請を出しているミャンマー人への審査を迅速に行うというものだった。

 その直後から、僕の携帯電話が頻繁に鳴るようになった。日本にいる知り合いのミャンマー人からの相談だった。

 僕は外国人のビザに関する専門家ではないが、これまでのアジア人との付き合いのなかで、ある程度はわかっていた。弁護士や行政書士に依頼すると有料になる。その前に相談という電話だった。

 今回の緊急避難措置では、6カ月の特定活動を認めるということだった。この「6カ月」は、大きな意味があった。通常は3カ月の特定活動という資格しかもらえなかった。しかしこれは日本で働くことができない。しかし、「6カ月」は働くことができた。

 いま、日本で飲食店を経営したり、働いているミャンマー人の多くが、「特定活動6カ月」という滞在資格をなんとか手にし、それを延長しながら定住ビザを取得してきた。

 日本で働く入口──。それが、「特定活動6カ月」というビザだったのだ。多くのミャンマー人がその流れを知っていた。

 相談にきた何人かのパスポートを目にし、日本で働くミャンマー人の暗部を垣間見てしまった。彼らは、日本の会社で働くビザをもっていた。

「問題ないじゃない。特定活動6カ月を申請する必要はないでしょ」

「でもその会社で働いていないんです」

「はッ?」

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帰国したらヤンゴン空港で逮捕