宝田明さん
宝田明さん
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 今年3月に亡くなった宝田明さん。遺作となった映画のメガホンをとった三宅伸行さんが故人を偲ぶ。

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 4月に公開された映画「世の中にたえて桜のなかりせば」は、宝田さんの遺作となりました。主演を務めながらエグゼクティブプロデューサーという立場もあり、強い思いで臨まれていました。

 プロットを10本以上出してもなかなかOKはいただけなかったのですが、「終活」というテーマを加えたところ、面白がっていただきました。そこに宝田さんの著書『送別歌』を読んで感じた“宝田さんらしさ”を織り込んでみました。宝田さんの満州での過酷な少年時代からスターになるまでを描いた作品です。すると、宝田さんが初めてサッと立ち上がり、握手を求められました。

 撮影に先駆けたリハーサルの段階で、宝田さんが体調を崩され緊急入院することになりました。製作中止も予想したのですが、撮影初日、車から降りられた宝田さんは、その場で軽やかなステップを踏んでみせたんです。おそらくまだ本調子ではなかったと思いますが、いつお会いしても、常にスター、常に“宝田明”であることを意識されている方でした。学生スタッフや大ベテランのスタッフ、共演者、すべて同じトーンでのコミュニケーションをとられているところに稀代のエンターテイナーらしさを感じました。

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