本来、従業員が適応障害になった際は、業務内容や業務量、席の位置、職場のミーティング方法など、適応障害の原因となっている環境を会社が柔軟に工夫していく必要があります。ところが、未だに一部の職場では理解が浅く、そうしたケアに至る気配りが期待できない状況にあるのも現実です。
そんななか最大限個人にどんなことができるのでしょうか?
誰でもストレスを感じて適応障害になる可能性はあります。まず大事なことは、自分は大丈夫と決め込むことなく、ストレスとなる要因を探っておき、そうした要因と遭遇しないように対策を考えていくことです。
適応障害はそのストレスの原因となる事柄が明確である、といわれています。ですから、その事象に遭遇しなければ適応障害には至りません。
自分のこれまでの仕事ぶりで、多少でもストレスを感じたことをあげてみてください。例えば、上司との人間関係、苦手な同僚、受けかねる仕事など幾つかあるはずです。
そのなかでストレス度合いが大きなものは積極的に避けていきましょう。例えば、それが上司自身であれば、対話機会を避ける、別の部署への異動を申告するなどが考えられます。
ほかにも、「直接話さないかわりにメールでの報告はこまめにする」、「同僚を通じて状況を伝える」など接触回数を減らさずに間接的に行うのもオススメです。そうして距離を保ちつつ、その間に「環境を変えて成長したい」とか、「別の仕事に挑戦したい」など、職場異動の理由を考えて申告してみてはどうでしょうか?
どうしても異動が厳しいようであれば、転職を考えるべきかもしれません。昔であれば耐えることが美徳であったかもしれませんが、状況は変わっています。自分を守るために、元凶となるストレスに遭遇しない対策を考えていきましょう。
■西野一輝(にしの・かずき)/経営・組織戦略コンサルタント。大学卒業後、大手出版社に入社。ビジネス関連の編集・企画に関わる。現在は独立して事務所を設立。経営者、専門家など2000名以上に取材を行ってきた経験を生かして、人材育成や組織開発の支援を行っている