■準決勝で米国と激突か
他の強豪チームも大リーグの一流選手をそろえた。第3回大会の優勝国・ドミニカ共和国やプエルトリコ、ベネズエラが優勝候補に挙げられるが、侍ジャパンの前に立ちはだかる一番の難敵は米国だろう。順調に勝ち進めば準決勝で激突する。
その顔触れはまさにドリームチームだ。野手陣を見ると、大谷とチームメートで米国代表の主将を務めるマイク・トラウト(エンゼルス、31)は「大リーグ最強の打者」の呼び声が高い。18年にレッドソックスでア・リーグ最優秀選手(MVP)に輝いたムーキー・ベッツ(ドジャース、30)、昨季ナ・リーグMVPのポール・ゴールドシュミット(カージナルス、35)、昨季打点王のピート・アロンソ(メッツ、28)もいる。
投手陣も、通算195勝右腕のアダム・ウェインライト(カージナルス、41)、抜群の安定感を誇るリリーバーのデビン・ウィリアムス(ブルワーズ、28)らが名を連ねる。さらに通算197勝左腕のクレイトン・カーショー(ドジャース、34)も参戦の意向を表明した。
■大会連覇へ士気は高い
米国に駐在する通信員が、米国が最強チームを結成した背景を明かす。
「トラウトが大会の1カ月半以上前に参戦の意思を示したのが大きかったです。他のスター選手たちも『WBCに出たい』と名乗りを上げた。米国は当初、WBCに冷ややかだった。第1回大会から大リーグ選手は出場していましたが、シーズン前の調整という雰囲気で緊張感がなかった。大リーグが世界一というプライドもあったと思います」
「もともと米国民の関心度も低かった。潮目が変わったのが、初めて頂点に立った17年の大会でした。『4度目の正直』で結果を出し、注目度が高まった。米国代表に入るのがステータスになり、スター選手たちが本気で臨んでいる。大会連覇に向けてチームの士気は高いです」
(ライター・今川秀悟)
※AERA 2023年2月6日号より抜粋