今年の会見に話を戻す。宮内庁のホームページでない直接発信となれば、SNSとなる。記者はさらに、「皇族がアカウントを持ち、発信する可能性も考えられるのか」を尋ねた。答えはこうだった。
「恐らく私はやらないと思いますが、そういう可能性も、もちろんあり得ることだと思います」
これはもう、SNSへの太鼓判に違いない。英国王室などを思うと、主たるツールはインスタグラムか。ご自身はしないとしたのは、若い皇族方を意識してのことだろう。炎上などのリスクは承知しつつ、例えば愛子さまのインスタをスマホでチェックする日が来ると思うと心が弾む。
では、いつから始まるのだろう。そのヒントは『秋篠宮さま』という本にある。著者は毎日新聞客員編集委員・江森敬治氏。今年5月に出版した『秋篠宮』が話題となったが、前著であるこちらも秋篠宮さまの素顔がくっきりと描かれている。
■宮内庁のHP開設
出版は1998年。注目すべきは、秋篠宮さまのこの発言だ。
「私は宮内庁にホームページを作ってもらいたい。ほとんどの省庁にホームページがあるでしょう。(略)皇族が出かける先に一人くらい宮内庁職員を派遣して、その様子を紹介してみせるのもいいと思う。宮内庁もアドレスをつけておけば、いろいろな意見だとかが入ってくるのではないでしょうか」
これは友人でもある江森氏が秋篠宮さまから直接聞いた言葉で、発言があったのは96年。前後の記述から、そう読める。こう続く。「九七年十一月、宮内庁はインターネット上に同庁のホームページを開設することを明らかにした。(略)宮さまの願いは少しずつ実現されている」
わかることが二つある。一つはSNSのない時代に、秋篠宮さまはホームページを通しての「直接発信」、さらには国民との双方向性を志向していたこと。もう一つは、秋篠宮さまによる情報発信関連発言があった翌年、宮内庁は確かに動くということ。そう、これが、若い皇族方のSNSが早ければ来年にも動き出すかもしれないと思う根拠だ。(コラムニスト・矢部万紀子)
※AERA 2022年12月12日号より抜粋