五輪で金メダルを最も多く獲得する国の一つは、米国だが、バイデン米大統領は東京五輪開会式には参加しない。米国では五輪は全く盛り上がっていないのが現状だ。AERA 2021年7月12日号から。
【写真】観光名所ロックフェラープラザにあるNBC本社の入り口にも五輪の広告はない
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「大統領は、五輪への参加は計画していません」
6月28日(米東部時間)、ジェン・サキ大統領報道官が定例記者会見中の質問にこう答えた。米メディアによると、ファーストレディーのジルさんが参加する可能性はあるが、検討段階だという。
■ワクチン接種率に懸念
このニュースは、日本では29日、速報となったが、米国ではCNNや通信社が報じただけ。「公衆衛生の専門家は、日本での新型コロナウイルスに対するワクチン接種率が約9%と低いため、スーパースプレッダーとなる可能性を秘めたイベントを日本が開催することに懸念を示している」(政治ニュース専門サイトのポリティコ)ため、大統領が参加を見送るのは既定路線と言える。ちなみに、米国のワクチン接種率は18歳以上で67%だ(6月30日現在)。
米国では実は、日本のように報道が五輪一色になることはほとんどない。30日現在、五輪を盛り上げるテレビCMを筆者が見たのは数回程度で、街中に広告もほとんど見当たらない。
日本で五輪といえば、NHKと民放のニュース番組の冒頭で結果が取り上げられ、その上に特番まで毎晩ある。しかし、米国で五輪の放映権を持つのは、3大ネットワークテレビ局のNBC1局。このため、CNNも含め他局では、日々のニュースの最後に結果を知らせる画面に出るのは、“選手の写真”だけ。しかも、NBCは通常、プライムタイム(午後8~11時)まで映像を流さないため、結果はオンラインですでに知られてしまっていることが多い。
一方、NBCを傘下にするメディア大手NBCユニバーサルのジェフ・シェル最高経営責任者(CEO)は14日、東京五輪では同社として過去最高の広告収入が見込まれ、「楽観している」と語った。ロイター通信によると、最新の金額は明らかにしていないが、昨年3月時点では12億5千万ドル(約1380億円)以上としていた。