林:ヒェ~(笑)。坂東玉三郎にそっくりなんでしょう?
桜木:と私は思ってるんですけど、それ言うとみんな笑うんですよね(笑)。
林:うちの夫もみんなから「(片岡)仁左衛門に似てる」とか若いころ言われてたんですけど、今はどうだか……(笑)。
桜木:私、見かけがナヨッとした男が好きで、14歳のころ坂東玉三郎に一目ぼれしたんです。当時夫は職場で「玉三郎」というあだ名で、声はジュリー(沢田研二)だったので、「これだ!」と思って追いかけたんです。
林:いいエピソードですね。うらやましい。
桜木:居心地がいいんです。
林:私が知ってる女性作家の中で、すごくいい旦那さんだなと思ったのは、田辺聖子先生のご主人の「カモカのおっちゃん」。奥さんをすごく大事にされて。
桜木:夫に言っておきます。「あとはカモカのおっちゃんを目指せ」って(笑)。
(構成/本誌・直木詩帆 編集協力/一木敏雄)
桜木紫乃(さくらぎ・しの)/1965年、北海道生まれ。中学生のとき、原田康子の『挽歌』に出会い、小説家を志す。32歳のとき、「北海文学」や地元のタウン誌に詩や小説の投稿を始める。2002年、「雪虫」でオール讀物新人賞を受賞。13年、『ラブレス』で島清恋愛文学賞、同年『ホテルローヤル』で直木賞を受賞し、ベストセラーに。『裸の華』『ふたりぐらし』『光まで5分』『緋の河』など著書多数。20年、『家族じまい』で中央公論文芸賞を受賞。近著に『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』。
※週刊朝日 2021年7月16日号より抜粋