2002年、「雪虫」でオール讀物新人賞を受賞して以来、活躍する桜木紫乃さん。作家・林真理子さんとの対談は、作家同士ならではの、味わい深いガールズトークとなりました。
【前編/実家がラブホ経営の桜木紫乃「先生も“男”だと気がついて何かわかった」】より続く
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林:桜木さんってほんとに不思議で、『裸の華』ってストリッパーの人が札幌にお店を出す話を書かれてて、書くために取材したのかと思ったら、もともとストリップが好きで見てたんですってね。
桜木:はい、デビュー前から見てました。今度一緒に行きません?
林:いや、私、いいです(笑)。昔、男の人たちと行ったことがあるけど、ショーを見ながら「私、こういうことをしなくてすむ人生でよかった。でも、べつに軽蔑してるわけじゃないのよ」と、自分が考えてるんじゃないかと思うのがイヤで、もう見たくないと。桜木さんはそういう優位性を持たずに見ている、非常にめずらしい女性ですよね。
桜木:できることなら脚を開きたいです、私は。
林:そこが桜木紫乃という人のおもしろいところで、家庭円満で楚々とした感じのこの人がストリップを見に行っちゃうんだから。
桜木:それを許してくれる家族って、よ~く考えれば不思議なんだけど、お母さん、好きなことしかできないんで(笑)。
林:カルーセル麻紀さんのことをお書きになった『緋の河』ですけど、前からカルーセルさんのことを書こうと思ってたんですか。
桜木:私は釧路に生まれて、大人たちがあいさつ代わりに「釧路出身のカルーセル麻紀」のことを話していたのを聞いて育ってるんです。中学校の先輩なんですよ。
林:カルーセル麻紀さんが?
桜木:はい、23期先輩なんですけど、地元では大人たちが、子どもにはわからないだろうと思って、シモネタ満載のウワサ話をしてて。よくまあ人をこんなに中傷できるもんだと思ってたので、興味があったことは確かなんです。たまたま対談させていただく機会があって……。