サービス面でマスク氏がまず打ち出したのが、「認証済みバッジ」の有料化だ。

 ツイッターはこれまで、著名人や政治家、ジャーナリストらによる申請に基づいて、アカウントが本人のものであることを示す認証バッジを無料で提供してきた。アカウント名の横についている青いチェックマークのことだ。マスク氏はこの認証バッジを月額7.99ドル(約1100円)の有料サービス「ツイッターブルー」の一部に含め、お金を払えば誰でも認証バッジが手に入るようにした。

 マスク氏がツイッターを総額440億ドル(約6.1兆円)で買収した際、金融機関からの借り入れが130億ドルにのぼり、その金利の支払いだけで年間10億ドルを超えるとされる。ツイッターは過去10年間で黒字化したのは2年しかなく、昨年まで2年連続の赤字。経営を立て直すためには、売り上げ増やコストカットが急務となっている。米ネットメディア「ジ・インフォメーション」は11月、マスク氏が従業員との会合で、来年のキャッシュフローが数十億ドルのマイナスになるとしたうえで、支出を上回るお金が確保できなければ、「破綻もありうる」と言及したと報じた。

■「トランプは復活する」

 だが、米中間選挙後に有料化を始めた直後から、トランプ前米大統領ら著名人などになりすました認証バッジ付きのアカウントが増加する。ゲーム大手の任天堂になりすましたアカウントでは、マリオが中指を立てた画像が投稿された。開始から数日後、マスク氏は認証マークの有料化を一時停止し、方針転換を迫られた。

 ツイッターの先行きへの不安から、大手広告主が広告を止める動きも広がった。米メディアによると、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)や独フォルクスワーゲン、米製薬大手ファイザーなどがツイッターへの広告出稿を一時的に止めた。

 最も注目されていた判断が、昨年1月の米議会襲撃事件後に「永久凍結」されていた、トランプ氏のアカウントの扱いだ。

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