ツイッターの大改革を断行するイーロン・マスク氏。慢性的な赤字から脱するために、従業員の大量解雇や認証済みバッジの有料化に踏み切ったが、ツイッターの先行きには不透明感が残る。2022年12月12日号の記事を紹介する。
【写真】「整理特集」のAERA表紙に登場したイーロン・マスク氏
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米サンフランシスコ中心部のツイッター本社。大量解雇が始まったと報じられた11月4日、オフィスはほとんどの電気が消え、人影がまばらだった。建物から出てきたツイッター従業員という男性は「話はできない」と足早に去っていった。
米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がツイッターの買収を完了したのが10月27日。マスク氏はすぐさま「大改革」に向けて動き出す。
マスク氏は着任直後、パラグ・アグラワル前CEO、ネッド・シーガル前最高財務責任者(CFO)ら幹部を解任。約1週間後の11月4日、約7500人いた全従業員の約半分にあたる約3700人の人員削減を開始した。日本法人も影響を受け、広報部門などの従業員らが対象となった。
■突然の「最後通告」
マスク氏は、さらなるプレッシャーを従業員にかけていく。
「我々は極めてハードコア(熱烈)になる必要がある」「これは高い集中度で長時間働くことを意味する」。米メディアによると、マスク氏は11月16日、従業員あてのメールでそう訴えた。
メールには「新しいツイッターの一部でありたいと確信がある人は、以下のリンクで『はい』とクリックしてください」とも書かれており、翌17日夕方までに同意できなければ、給与の3カ月分の退職金を得て会社を辞めるよう促したという。
マスク氏が突然打ち出した「最後通告」で、社内はさらに混乱する。期限となった17日、ツイッター上にはマスク氏の意向に賛同せずに退社したという従業員らの投稿があふれた。
米ネットメディア「ザ・バージ」によると、買収前に約7500人いたツイッターの従業員は、約2700人と3分の1ほどに減ったという。