ちなみに馬場は、3回戦の浦和東戦では三塁打で2打点を挙げるなど、計4回代打で出場。その間、審判が注意した様子がなかったのも大らかで、地方予選らしい。

 翌16年、ヌンチャク打法に続いて話題を集めたのが、滋賀学園の4番・馬越大地の“ヘリコプター打法”だ。

 2年秋から「タイミングを取る」ために、打席で構えたときに頭上でバットをクルクル右回転させる打法を始めたところ、近畿大会で本塁打を記録するなど、16打数8安打5打点の大当たりで準Vの立役者に。翌春のセンバツでも、2回戦の釜石戦で2ランを含む5打数3安打4打点と好調を持続し、8強入りに貢献した。

 センバツ後、「身が入っていない」と山口達也監督に叱られ、春の大会ではベンチから外れたが、自主練習の打ち込みを100本から200本に増やし、率先して走り込むなど、主砲の自覚を持って努力したことが認められ、再び背番号3を貰った。

 最後の夏は動作を緩めにした“新ヘリコプター打法”で、3試合連続本塁打を含む18打数11安打11打点。県大会準決勝で近江に敗れ、春夏連続の甲子園を逃したものの、馬越は翌年2月、日本学生野球協会の2016年度優秀選手に選ばれている。

 王貞治もビックリの“逆一本足打法”で注目されたのが、和光の室橋達人だ。

 16年の西東京大会1回戦の狛江戦、左打席に入った2番・室橋は、前方の右足を上げる王とは逆に、後方の左足を1、2度高く上げてタイミングを取るユニークな打法を披露した。

 本人によれば、「もともと軸足への体重移動が苦手で、いろいろ試しているうちに」、この打法に行き着いたのだとか。

「それで本当に打てるの?」とスタンドが好奇の目で見守るなか、室橋は2回の第2打席で中越え三塁打を放ち、珍打法の写真とともにその日のヤフートップ記事になった。

 残念ながら、チームは同年、翌17年と2年連続初戦敗退。悲願の1勝を挙げることはできなかったが、室橋は「名前がついて知ってもらえて、自信になった」と満足そうだった。

次のページ
甲子園への代替出場を知らずに旅へ!?