茂木敏充幹事長
茂木敏充幹事長
河野太郎デジタル相
河野太郎デジタル相

■“終わった人”!? 国民人気は健在

 野上氏は次のように予測する。

「岸田氏の辞め方次第で本格政権か、ワンポイントになるかが決まる。岸田氏が辞任に追い込まれ、次の選挙までのワンポイントで登板するような状況ならば、総理経験者の麻生、菅両氏しかない。総裁選を経たうえでの本格政権となると、茂木敏充幹事長と河野太郎デジタル相が『次は俺だ』と強い意欲を示している。西村康稔経済産業相、高市早苗経済安全保障相、野田聖子元総務相らも機会をうかがっている」

 圧倒的に有力な候補者がいない状況だが、派閥の力学を考えると、おのずと答えは絞られてくるという。

西村康稔経産相
西村康稔経産相

「原発反対の河野氏は安倍派が絶対に許さない。西村氏が手を挙げたら安倍派が割れる。消去法で担ぎやすいのは茂木氏です。茂木派、安倍派、麻生派、岸田派の4派で茂木氏を担げば、二階派も菅グループも茂木氏につくでしょう。ただし、茂木氏は人望がないのが大問題。役人に聞いても、茂木さんは威張り腐っているという評価で、良いといった人は誰もいない。それほど自民党の人材不足、劣化ぶりはひどい」

自民党の石破茂元幹事長
自民党の石破茂元幹事長

 一方、角谷氏は「キーマンは石破茂元幹事長です」と言い、こう解説する。

「“終わった人”という印象があるかもしれませんが、メディア各社の世論調査の『首相にふさわしい人』では軒並み河野氏に次いで2位。党の総務会でも、自身が大臣を経験した防衛、農水、地方創生がテーマのときは必ずきちんと持論を展開している。このままで自民党は大丈夫かと思う人は、石破さんに注目すると思う」

 誰が首相になろうとも、今、日本が直面する難局を乗り越えることは並大抵の努力では不可能だ。自民党岸田派幹部は「長期政権なんて考えてはいけない。一つひとつ、目の前のことをしっかりやるしかない」と話す。首相にこの言葉が届いていなければ、23年の今ごろ、永田町には「新しい景色」が広がっているだろう。(本誌・村上新太郎)

週刊朝日  2023年1月6-13日合併号

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