

大リーグ・エンゼルスで投打の二刀流に挑戦する大谷翔平が全米で注目を集めている。 実力だけでなく、喜怒哀楽を出す姿が老若男女問わずにファンを引きつけている。AERA 2021年7月19日号から。
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大リーグ・エンゼルスでプレーする大谷翔平(27)の注目度は全米でも主役級になっている。7月7日現在で打率2割7分9厘、32本塁打、69打点。アメリカン・リーグの本塁打王争いで独走し、打点王も狙える位置につけている。投手としても13試合登板で4勝1敗、防御率3.49。野球の本場でも、長い歴史でこんな活躍をした選手は今までいなかった。
大リーグ公式サイトによると、レッドソックスのクリスチャン・アローヨ(26)がインスタグラムで大谷の情報を追っていることを告白し、絶賛した。
「大谷が他チームと対戦したときは、携帯電話に飛びついてインスタグラムの画面をスクロールし、公式サイトが流す彼の情報を見ている。彼のプレーを見るのは本当に特別なこと。すごい選手だからね。こんなの誰も見たことがないんだから」
■過去の日本選手と違う
大リーグを長年取材している日本人の通信員は、こう語る。
「テレビをつけると、大リーグのニュースは大谷の特集ばかり。全米で最も注目されている選手です。プレーだけでなく、大谷が笑ったり悔しがったりする表情がアップになって報じられている。海外の人たちにとって日本人は野茂英雄、イチローのように表情に出さず寡黙にプレーするイメージが強かったのですが、大谷は違う。喜怒哀楽をはっきり出すので、ファンも感情移入しやすい。米国でアイドルのように扱われています。老若男女問わず愛されるキャラクター。このオフは米企業からコマーシャルの出演依頼が殺到すると思います」
全米のスポーツニュースで繰り返された象徴的なシーンがある。7月2日のオリオールズ戦。「2番・指名打者(DH)」で先発出場すると、4点差を追う三回に29号の右越えソロ本塁打で反撃ののろしを上げ、1点差に迫った四回には2打席連続となる30号の左越え逆転2ランを放つ。
ドラマはここで終わらない。同点に追いつかれた後の九回に四球で出塁すると二盗に成功。浅い右前安打で間一髪生還してサヨナラ勝ちを果たした瞬間、大谷はスライディングの勢いで寝転がったまま、天に向かって拳を突き上げた。SNS上ではこの写真と共に「オオタニ劇場だ!」のコメントで話題になった。