A型肝炎は、A型肝炎ウイルスによる感染症です。汚染された食物や水の摂取、ウイルスが付着した手で口に触れることによる経口感染のほか、性的接触や便に排出されたウイルスによっても感染します。

 上下水道が整備されている日本では、感染症発生動向調査によると、A型肝炎の報告数は年間100~300件で推移していましたが、2018年は年間累計925例の報告がありました。日本では、60歳未満のA型肝炎ウイルス抗体保有率は1%と低く、A型肝炎の流行が起こる危険性が指摘されています。

 A型肝炎を予防するためのワクチンはありますが、残念ながら小児の定期接種には含まれていません。任意接種となっており、接種にかかる費用は自己負担です。主に、海外に渡航する際に必要なワクチンの一つとして接種されていましたが、災害ボランティアに参加する際はもちろんのこと、新型コロナウイルスワクチンを含め、個人の積極的な予防対策が今後さらに問われる世の中になってきているのではないでしょうか。

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

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