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「この第3区から立候補することをかためさせていただいた」

【写真】二階幹事長が推す「ポスト菅」の大穴はこの人

 マイクを手に7月15日、こう決意を述べたのは、自民党の林芳正参院議員だ。これまで、防衛相、文部科学相などを務めた岸田派座長の大物が解散総選挙になった際、鞍替えし、衆院山口3区から出馬すると宣言したのだ。

 任期が今年10月までの衆院で、解散総選挙を見据えた林氏の動きは自民党に波紋を投げかけている。この日の会見で、林氏は参院議員を辞し、退路を断って次期衆院選に挑むという不退転の決意を述べた。

 だが、山口3区には自民党二階派で官房長官、文科相などを歴任し、10回連続当選の現職、河村建夫衆院議員がいる。自民党の大物同士が激突する分裂選挙になるのは必至だ。

 現職優先という自民党の方針から、河村氏が公認候補となり、林氏は無所属での出馬となりそうだ。

「衆院への鞍替えというハードルを超えなければならない。(無所属の出馬は)それも含めた決意だ」と林氏は語った。

 約1年前から衆院への鞍替えを狙って準備してきた林氏。すでに、山口3区に事務所も構えた。林氏の支援者は自信ありげに語る。

「林先生は鞍替えで無所属になる可能性があります。それでも地元の県議のほとんどが、林先生につくと決断してくれた。市議なども同様です。無所属であろうが、林先生でまとまりつつある」

 しかし、そこに立ちはだかるのが、二階俊博幹事長だ。河村氏は二階派の重鎮でもあり、次の衆院議長候補といわれる。二階幹事長は林氏が山口3区に鞍替えした場合、「党則に書いてあります」と自民党からの除名処分も示唆している。

「二階先生は派閥の集まりで『絶対に負けない』『後ろに引くな』と檄を飛ばしています。昨年10月、河村氏の決起大会には派閥20人の国会議員が参加。『売られたケンカは受けてたとう』と決意を述べている。いよいよ、ケンカを受けて立つことになる」(二階派の衆院議員)

 二階氏の幹事長就任後、自民党の候補が互いに譲らず、保守分裂選挙になったことが何度かあった。その場合、小選挙区で勝った方が自民党入りという対応だった。

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明日は我が身の二階幹事長