光文社の担当者は「10代、20代だけでなく、親子で楽しむ人やお母さん、娘さんへのプレゼントとして買ってくれている人も多いようだ」と話す。
高額な写真集でも出せば飛ぶように売れる。そんなアイドルが今の日本にいるだろうか。また、K-POPの中でもBTSはファン層が厚いと言われるのはなぜなのだろうか。
「マスメディアはK-POPやアイドルの枠で語りたがりますが、もはやBTSは別格の存在です」
日本・韓国のエンタメ事情に詳しいジャーナリストの松谷創一郎氏は指摘する。BTSというグループのそもそもの定義から間違っているというのだ。
「アイドルというフォーマットではありますが、K-POPは音楽やパフォーマンスを中心として売っており、日本のアイドルとは異なります。K-POPでもBTSは群を抜いていて、海外アーティストと並べるのであれば、昔のビートルズやマイケル・ジャクソンといったところでしょうか。今やかつてのマドンナよりも人気だといっても過言ではありません。それほどのグループの写真集ですから、売れるのは当然です」
音楽性やパフォーマンスが評価されたとしても、なぜここまで人気を博したのか。松谷氏によると、背景として日韓の芸能プロダクションやエンターテインメント業界には大きな違いがあるという。
「韓国は、マーケティング戦略に長けており、グローバルマーケットをターゲットにそれを成功させています。K-POPに限らず、映画『パラサイト』はアカデミー作品賞を受賞しましたし、ネットフリックスで配信している『愛の不時着』が世界的ヒットになっているのもその例でしょう」
対して、日本はどうか。
「日本の芸能プロダクションやエンターテインメント業界は、テレビや雑誌など既存のメディアを軸にしたビジネスモデルで、インターネットを使ったビジネスモデルへの切り替えが世界的に遅れています。グローバルマーケティングをしている芸能プロダクションもないわけではないですが、現状成功しているとは言えません」