武田:命を落としたり、重症化したりするのは自分かもしれないし、自分の大切な人かもしれない。まったく知らない人でも、その人は誰かにとって大切な人だったりするわけです。感染者数が増えれば、残念なことに亡くなる人が出てくる。こんな今だからこそ五輪で感動を届ける、という声が聞こえてきますが、いい成績を残すという意味なのでしょう。いや、でも、メダルとコロナって、比較しちゃいけないことなんじゃないかと。
安田:もともとこの東京オリンピックは「復興五輪」を掲げていたわけですよね。復興五輪っていうことは、災害で亡くなられた方、死者の命とともに迎えるという意味合いがあったはずなんです。それが死者を増やすリスクを背負ってまで開催するオリンピックになるということは、私もはなはだ疑問です。
(構成/編集部・三島恵美子)
※AERA 2021年7月26日号より抜粋