アメリカ野球の歴史を振り返るとき、20世紀最大のヒーローが二刀流の先駆者であり、20世紀を代表するホームランバッターでもあったベーブ・ルースです。大谷選手が比較されるのはまさにそのベーブ・ルースで、その間、100年もの時間が流れている。

 イチローも100年前の歴史を掘り起こす記録を作ってきましたけど、ヒットとホームランの違いがあります。アメリカ野球の華は、やっぱりホームランなんです。ルースと比較されるのが日本人だというのが今も信じられません。松井秀喜の引退後、日本人のパワーヒッターで成功する人はもう出ないと思ったんですけども、いや、まるでスケールが違いますね。

 ルースはまさしく子供たちのあこがれの的でした。同じように大谷選手も好青年で、みんなから愛されている。本当に理想的な選手といっていい。ルースの二刀流の全盛期は1918、19年、レッドソックスに在籍していたころでした。当時はほかにも二刀流選手が何人かいました。まだ選手の数が少なく、それほど競争がなかったからだと思います。

 球団数が増え、分業化が飛躍的に進んだ現代野球において、二刀流を実現させている。まさに偉業というほかなく、「21世紀最大のハイライト」といってもいいかもしれません。こういったことができるのは、おそらく大谷選手しかいない。「大谷を超えるのは大谷しかいない」ということです。

 今後、二刀流を目指す選手は出てくるでしょうけども、世界最高峰のリーグで大谷選手と同じレベルで成し遂げる選手は、まず出てこないでしょう。21世紀はまだ5分の1しか終わってませんが、確実に21世紀最大のヒーロー、最高のメジャーリーガーの一人だと思います。

 ここまでの活躍は正直想像できませんでした。せいぜい、去年までのように一週間に1回先発登板して、その前後の日は休んで、それ以外の限られた日にバッターとして出場することを予想しましたけども、今年は休みなしのフル回転です。今のところけががなく、健康管理がしっかりできているのが大きい。

暮らしとモノ班 for promotion
新型スマホ「Google Pixel 9」はiPhoneからの乗り換えもあり?実機を使って検証
次のページ
60本塁打放ったのは過去に5人