

「HiGH&LOW THE WORST」の不良役で、ネクストブレーク俳優として注目されるようになった、俳優の塩野瑛久さんがAERAに登場。今年でデビュー10年目を迎えた彼に、現在の思いを語った。AERA2021年8月2日号から。
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撮影は温かな空気感に包まれていた。
「見た人が全員目を奪われるような、すごいのを撮ろう!」
本誌表紙フォトグラファー、蜷川実花が楽しげに気合を入れた。二人は以前から交流があるが、仕事としてタッグを組むのは初だ。
「目標でした。かなったことがうれしい」
2年前に出演した映画「HiGH&LOW THE WORST」で、金髪ハーフアップに青いサングラス姿の不良、小田島有剣を外連味(げれんみ)たっぷりに演じ「ネクストブレーク俳優」と目されるようになった。クセの強い役にも果敢に挑み、デビュー10年目を迎えた今年は原点に戻って演技に向き合いたいと、それまで所属していた事務所を退所。さらなる挑戦に踏み出している。
「気も使うし腰が重い時もあるけど、なるべく素直に自分の足を動かしたい。それでダメなら、諦めもつくので」
蜷川との縁もその精神で引き寄せた。仕事で訪れた撮影所で、たまたま蜷川組も撮影中だった。面識はないが、インスタグラムで相互フォローだった蜷川に「見学に行ってもいいですか」とDMを送った。「でも、そんなことをしたのは、ほぼ初めて。実花さんの映画を見て、柔軟に受け入れてくれる人だと感じたからできたことです」
8月からは「来世ではちゃんとします2」に出演する。性依存系女子、BLオタク、風俗ガチ恋など、あらゆるこじらせ男女を描く。前作に続き、主人公・大森桃江(内田理央)のセフレで本命の、SM好き商社マン・Aくんを演じる。
「きっと誰もが何かをこじらせている。僕もそうです(笑)。必死で生きている人に寄り添う、みんなが愛おしくなるドラマ。共感しながら楽しんでもらえたら」
ドラマにちなみ、「来世でちゃんとしたいことは?」と尋ねると、「ない」と答えた。思いは現世でかなえたい。
「人生は一回。可能性があるのに、踏み出さないのはもったいない」
その言葉の通り、まっすぐに生きている。
(ライター・大道絵里子)
※AERA 2021年8月2日号