台東区で、休業要請を受け入れず営業を続けてきた居酒屋経営者の男性のもとに、7月上旬、近所の飲食店主が訪ねて来た。
「うちも再開することにした。いろいろ悪かった」
この店主は今年2月ごろ、街のイメージが悪くなるため「営業をやめたほうがいい」と忠告してきたことがあったという。
居酒屋経営者は言う。
「(謝罪は)お金の面で限界だってことでした。ワクチン接種が広まるのを待つつもりだったけどあまりに遅いので、五輪もやることだし店を開けますと。結局、協力金だけじゃやっていけない店は、営業再開が早いか遅いかの違いだけだと思うんですよ。この一帯も、同じ事情で開ける店がどんどん増えてきています。店と従業員を守るなら、いつか決断しないといけない時が来るので、言い方は悪いですが国がなし崩しで五輪をやったことは、飲食店にはいいきっかけなんです」
■処分を受け続けるのか…
27日には感染者が過去最多となる2848人となった東京。感染拡大に歯止めがかからぬ状況の中で、酒を出す店に厳しい視線を向ける人も少なくない。ただ、五輪開催によって、営業自粛要請の効力がさらに薄まったのは事実のようだ。
居酒屋経営者は、こう本音を漏らす。
「ニュースを見るとマスクをしていない選手や、繁華街に飲みに行った関係者もいるみたいですが、処分されないみたいですね。小池(都知事)さんも、こういう五輪の問題には何も言わないんですよね……。私たち飲食業は、これでも処分を受け続けるんでしょうか」
(文/AERA dot. 編集部)