
漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「エルピス―希望、あるいは災い―」(フジテレビ系 月曜22:00~)をウォッチした。
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週刊誌に「路チュー」こと路上キス写真を撮られたことで、深夜に飛ばされたアナウンサー・浅川恵那(長澤まさみ)。
それ以来、摂食障害で水しか飲めない彼女は、新人ディレクター・岸本(眞栄田郷敦)からある相談を持ちかけられる。
12年前に発生した10代の女性ばかりを狙った連続殺人事件。逮捕され死刑判決を受けた男は、本当に犯人なのか?
ひょんなことから冤罪(えんざい)疑惑の真相を探ることになった二人。次第に明らかになる性急な捜査、マスコミの偏向報道、現場の矛盾点、目撃証言の嘘。
ここ最近のドラマの中でも抜群に胸がヒリヒリ、ザワザワとする本作。タイトルの「エルピス」とは、「パンドラの箱」の中に唯一残されていた「希望」、あるいは「災い」の予兆のことだ。
事件を追う二人も、常にこの「希望」と「災い」の間を揺れ動く。開けてはいけない箱のフタ。岸本にとってそれは封印した学生時代の記憶。イジメで自殺した友人を救えなかった罪悪感が、改めて彼をさいなむ。
浅川にとっては、花形キャスターだったかつての自分。五輪招致、汚染水問題。あの時の自分は真実を伝えていたと、胸を張って言えるのか。