その中で飛び込んできたニュースが、中国女子団体のメンバー入れ替えの一報だった。劉詩●(ブン)から王曼昱に交代させることが発表された。卓球混合ダブルスで世界ランク2位の水谷隼、伊藤美誠ペアがフルゲームの死闘の末に破った相手が、中国ペアの許昕、劉だった。劉は試合後の記者会見の場で涙を流し、「皆さんに申し訳ない」と何度も謝罪。ショックを隠し切れない表情を浮かべていた。
かつて世界ランキング1位に輝き、16年リオデジャネイロ五輪の女子団体で金メダルを獲得。世界選手権、ワールドカップでシングルス、団体含めて17個の金メダルを獲得した実力者だ。東京五輪の混合ダブルスでも金メダルの大本命だっただけに、中国メディアで「屈辱の1日」と報じられた。
今回の入れ替えは右ひじの故障で出場を断念した可能性が高い。日本のSNS、ネット上では激励のメッセージが相次いだ。
「劉選手を初めて観たのは2009年に横浜アリーナで開催された世界卓球選手権。当時はまだ18歳の、あどけなさが残る可愛い美少女だったが、その後、長年にわたって世界女子卓球界の金メダルコレクターとして君臨してきた。中国のみならず、日本にも彼女のファンは多い。それだけに、もう観られないのは残念だが、故障とあっては仕方がない。是非、また日本のファンにも元気な姿を見せて欲しい」
「クールだけど芯の強さが見える佇まいが好きです。東京五輪では思うような成績を残せなかっただろうけど、これからも頑張ってほしい」
卓球を取材しているテレビ関係者は「劉は福原愛さんと仲が良いことで知られていました。彼女の欠場は残念ですが、中国は選手層が厚い。勝つのは至難の業ですが、日本も史上最強の布陣です。番狂わせを起こしてほしいですね」と期待を込める。
混合ダブルスに続き、歴史的快挙は生まれるか。(牧忠則)