「子どもの命を預かる仕事なので、バス内の忘れ物とか、水がこぼれて危ないとか、もう、びっくりするくらい些細なことでも徹底して書くんです」
それに対する行政による抜き打ち査察もある。
「『あなたのところ、ちゃんと運営している?』って感じで突然やってきて、ヒヤリハット報告書も含めて、すべての書類を見られます。もし、園長の印鑑がなかったりしたら大変なことになる。それくらい厳しいものです」
私立の幼稚園や保育園の場合、査察の結果が行政からの助成金に直結する。それだけにシビアなチェックが行われるようだが、双葉保育園の場合はどうだったのか。
同園を管轄する中間市保健福祉部こども未来課の担当者は「査察ではなく、監査です」としたうえで、「(双葉保育園にも)毎年、監査を行ってきましたが、特に問題は見つからなかった」と言う。
ただし、監査は抜き打ちではなく、事前に園に通知したうえで行われてきたという。
「福岡県の場合は、どこもそうです」(同)
送迎バスの運行については通常、運転手のほか、保育士が同乗し、園に到着後は車内の確認を行ってから下車するそうだが、保護者が児童を送迎バスに乗せる際、どのような手順が定められていたかまでは、市は把握していなかったという。
■アメリカとの大きな違い
ちなみに、スクールバスによる通学が一般的なアメリカではさまざまな安全対策がとられ、日本とは大きく状況が異なるという。
NPO法人 Safe Kids Japan事務局の太田由紀枝さんはワシントンに拠点を置くSafe Kids Worldwideのスクールバスの担当者に取材した経験からこう語る。
「今回は園長先生が運転していたわけですが、日本では車種に合った運転免許を持っていれば誰でも送迎バスを運転できる現状があります。アメリカではドライバーの資格ひとつとっても、まったく違います」
スクールバスのドライバーになるには選考段階で性犯罪を含めて犯罪歴がないこと、ドラッグやアルコールの問題がないこと、重大な交通事故を起こしていないことなどがチェックされる。