帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
※写真はイメージです (GettyImages)
※写真はイメージです (GettyImages)

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回は「姿勢がいいということ」。

*  *  *

【原形】ポイント
(1)いい姿勢では重力に対する体の負担が最小限になる
(2)一方、いい姿勢は原形がしっかり維持されている
(3)歳を重ねても、ヒトとしての原形を失いたくない

 自分では意識していないのですが、時々「帯津先生は姿勢がいい」とほめられることがあります。それはうれしい限りなのですが、本来、姿勢がいいとはどういうことなのでしょうか。

 医学的には姿勢とは、頭部、体幹、体肢の相対位置関係を表現する用語です。その上で、理想の姿勢とは、重力に対する体の負担が最小限になるものをいうようです。骨盤の上に腰から首まで24個の骨が積み木のようにのっていて、さらに頭蓋骨(ずがいこつ)がある。この位置関係のバランスがいいと、負担が小さくなるというわけです。その結果、疲れにくくなり、代謝がよくなり、免疫力が上がるというのですから、ナイス・エイジングにとって姿勢は重要です。

 私の姿勢のよさがどこから来ているのか、よくわかりません。これまでやってきた空手や八光流柔術、太極拳などの武術には型がありますから、それを修練するうちに、姿勢が整ったのかもしれません。

 姿勢のよさで思い出すのが、解剖学者の三木成夫先生です。東大医学部の先輩で東京芸術大学の教授をされていました。私は調和道丹田呼吸法を学ぶために調和道協会に出入りしたのですが、三木先生はその協会の顧問でした。講演を何度か拝聴しましたが、長身で背筋をすっと伸ばして静かな口調で語られます。そのおだやかな表情とじつにいい姿勢がかもしだす風貌(ふうぼう)がしっかりと目に焼き付いています。

 その三木先生の著作『人間生命の誕生』(築地書館)に姿勢に関わることが書かれています。

著者プロフィールを見る
帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

帯津良一の記事一覧はこちら
次のページ