

「最期まで住み慣れた家で過ごしたい」と、「在宅死」を選ぶ人が増えている。家族がいなくとも家で最期を迎えられるそう。後悔しない「看取りへの備え」とは?
【前編/コロナ禍で在宅死の希望が増加 在宅医療は意外と安い?】より続く
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もちろん「おひとりさま」でも在宅死を選択できる。
「オレは絶対に病院とか施設とか行く気はないから。畳の上で死にたいんだ」
と、『「在宅死」という選択 納得できる最期のために』(大和書房)の著者で、在宅医療専門医の中村明澄医師に訴えたのは、C男さん(当時98)。妻やきょうだいには先立たれて、子どもはいない。血縁の親族も近くにいなかった。
「介護保険サービスの利用は最小限にして、家に人が出入りするのは、できる限り少なくしたいというのが希望でした。『自宅で治療が受けられる範囲で治らないのならあきらめる』と病院の受診も拒否されました」(中村医師)
ほとんど寝たきりの状態になり要介護度は5になった。おむつを使用するようになっても、「最近のおむつは性能がいいんだ」と言い、使ったサービスは1日1回の訪問介護と、週1回の訪問看護のみ。
床ずれを心配して介護ベッドのレンタルを勧めても、「布団がいい」と拒否。本人の希望どおりに布団のなかで、眠るように息を引き取った。
翌日に訪問した看護師や介護職員が見つけるケースもあるが、ひとりで逝ったとしても「孤独死」ではないという。
このように、おひとりさまでも「在宅死」を選択することができるが、「亡くなった後の備え」が必要になる。
D子さん(当時75)は、姉と二人暮らしだったが、姉を看取った後、「姉は自分が看取ったが、自分はどうやって看取られるのだろうか」と不安に駆られた。
甥や姪は疎遠なので負担はかけたくない。そこで、「死後事務委任契約」を結ぶことにした。
死後事務委任契約とは、元気なうちに、本人が亡くなった後の「死後の手続き」のほか、葬儀、納骨などを第三者に委任する契約をいう。