いろんな事情(おのおの調べて)でロシアの選手が金メダルをとっても、表彰式でロシア国歌が流れない。代わりにチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第一番」が流れてました。チャイコフ師匠はロシア出身でしたか。もし他の国が国歌以外の曲を使用するなら……? アメリカはハルク・ホーガンの入場曲「リアルアメリカン」だな。中国は「夜来香」。イギリスならビートルズ。フランスだったら「夢見るシャンソン人形」か「枯葉」でしょう。

 日本だったらなんだろね? と家内と話し合う。妻「『川の流れのように』かな?」私「これ以上、秋元康にお金が入るの嫌だな」妻「サブちゃんの『まつり』は?」私「なんか違う……『上を向いて歩こう』は!?」妻「それだっ!」ということで、あってはならんことですが日本がもしそういう事態に陥った時は『スキヤキソング』で表彰式。

 ちなみに今回の金メダルのデザイン。どうも「パイナップル缶の底」に見えてしょうがない。いかがでしょう?

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめた最新エッセイ集『まくらが来りて笛を吹く』が、絶賛発売中

週刊朝日  2021年8月20‐27日号

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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