ヤフーは「多様性と調和」を理念に掲げる東京五輪・パラリンピックのオフィシャルサポーターでもある。大会組織委員会の高谷正哲スポークスパーソンは、ヤフコメ欄などにあふれる選手への批判について問われると、「特定の企業についてエディトリアル(編集)の部分には要請できない」としながら、「大きな問題意識を感じている」と回答した。
ヤフーニュースは、どう考えているのか。
「コメント欄は、公開しているコメントポリシーに違反したものは削除し、投稿停止措置を取るなど誹謗中傷対策を強化しています。また、現在は有識者会議を招いて議論し、削除件数や基準についての透明化を目指しています」(ヤフー広報担当)
高田昌幸・東京都市大教授(ジャーナリズム論)は「ネット上の匿名投稿は必要。実名でしか意見を言えない社会は諸刃(もろは)の刃。権力批判も難しくなる」とした上で、言う。
「コメント削除等の権限をヤフーに与えすぎるのも危険。世論を一定の方向に導きかねない。匿名コメント欄を維持するなら、削除や非表示の明確な基準を示し、個別具体的にも理由を明らかにすべきです」
スポーツは人と人を結びつけるもの。心ない言葉で社会を分断するものであってはならない。(本誌・西岡千史)
※週刊朝日 2021年8月20‐27日号