誰よりも「すごい」ことをやってのけている今の大谷であれば、新たなメジャーリーグの顔になっても何ら不思議ではない。そして“顔”ならば英語を話すべきという主張も、わからないわけではない。

 だが、大谷の場合はバッティング、ピッチングともにそれだけで見る者を魅了する。しかも、その2つをこれだけ高いレベルで両立させた選手は、120年に及ぶ近代メジャーリーグでもほかに見当たらない。そう考えると、英語を話す話さないは些末なことに思える。繰り返しになるが、今の大谷が成し遂げていることはそれぐらい「異次元」なのだ。(文中敬称略)

(文・菊田康彦)

●プロフィール
菊田康彦
1966年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身。2004~08年『スカパーMLBライブ』、16~17年『スポナビライブMLB』出演。プロ野球は10年からヤクルトの取材を続けている。

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