かつては若手の育成や、新たな集客戦略が評価され“革新的球団”としてポジティブな見方が多かったが、今はチームの成績を含め球団の体質を疑問視する人も少なくない。

「米国方式の球団経営を積極的に導入し、ダルビッシュ有(パドレス)、大谷翔平(エンゼルス)を育てた実績も高評価されていた。しかしここ数年は若手選手も伸び悩み、一軍も結果が出ない。フロント、現場ともにマンネリ感もあったので、ここで悪い部分を全部吐き出せば良い。球団を変革する時期です」(日本ハム担当記者)

 04年の札幌移転後はリーグ優勝5回、日本一2回を誇る人気チームとなった。新庄剛志など華のある選手を積極的に獲得し、千葉県鎌ケ谷市の二軍施設を有効活用した若手選手の育成も話題を呼んだ。また、米国式のベースボール・オペレーション・システム(BOS)を導入した独自のチーム作りなど、画期的な試みは球界に新風を吹き込んだ。

 しかし20年近い月日が球団内外にマンネリ感を作り出したことも否定できない。チームは16年に日本一に登り詰めたが近年はBクラスが定位置。12年に就任して今年10年目を迎えた栗山監督の責任を問う声も後を絶たない。また清宮幸太郎、吉田輝星など甲子園のスターをドラフトで獲得するも一軍定着の気配が感じられない。23年には自前で建設する新球場の開場が予定されているが、明るい未来は待っているのだろうか……。

「目指しているのは23年の新球場開場年ではない。新球場開場後の数年間はご祝儀もあってお客さんは入ります。その先5年、10年と愛され北海道に根付く球団になることが重要。そういった意味では悪い部分をなくして球団を改革するのに最適な時期です。例えば西武もそういう時期を乗り越えて今の繁栄がある。様々な問題に真摯に取り組み、真の道民球団にしないといけない」(日本ハム関係者)

 球団として見据えているのは23年の新球場開場ではなく、その先の未来だ。コンプライアンスを重視し、ファンに心から愛される球団を目指す。モデルケースとなるのは西武だ。西武は90年代中盤に黄金期を支えた選手の多くが退団し、一時期のような人気がなくなった。さらにグラウンド外での問題もあり、身売りさえも噂された。しかしグループ全体が一致団結、ファンファーストの姿勢でV字回復を成し遂げた。ボールパーク化された本拠地のメットライフドームはチケット入手が難しい試合もあるほどだ。

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再び道民が誇りを持てるチームとなれるか