1972年から強豪の帝京高校を指揮する前田三夫監督 (c)朝日新聞社
1972年から強豪の帝京高校を指揮する前田三夫監督 (c)朝日新聞社
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 甲子園は雨天順延が相次ぎ、異例の長期期間の大会となっているが、高校野球でクローズアップされることが多いのが監督の存在だ。今大会では大阪桐蔭の西谷浩一監督、明徳義塾の馬淵史郎監督が勝利数を重ね、通算勝利数でも歴代トップ5に名を連ねている。西谷監督は51歳という年齢を考えても、高嶋仁前監督(智弁和歌山、智弁学園)の持つ通算68勝を更新する可能性は高いだろう。

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 そして甲子園の常連校と言われるような学校の監督は長期政権となることが多い。横浜高校の渡辺元智元監督は一時部長に回った時期はあったものの、1968年秋から2015年夏まで半世紀近くチームを指導している。現役では帝京の前田三夫監督が1972年から指揮を執り続けており、この2人は歴代5位タイの甲子園通算51勝を誇っている。

 ただ私立の学校となるとやはり求められるのは結果となるが、どんな名監督でも最後まで勝ち続けることはやはり簡単ではない。渡辺監督は最後に指揮を執った2015年の夏は神奈川大会の決勝で東海大相模に大敗を喫して甲子園の土を踏むことができず、帝京も2011年夏を最後に甲子園出場から遠ざかっている。

 どんなスポーツ、どんなチームでも勝ち続けることが難しいのは当然だが、監督の影響力の大きい高校野球の場合はやはり監督を取り巻く環境や指導体制などが大きく影響していることは間違いないだろう。特に結果を残した名監督の場合、大きな障害となるのが監督業以外の仕事が増えることだ。

 毎年オフに行われている指導者講習会では夏の甲子園優勝監督が講演することが多いが、結果を残せば残すほどこのように講演などを依頼されるケースは増える。甲子園大会出場を逃した現役監督がテレビ中継の解説として呼ばれることも恒例となっており、加えてU18侍ジャパンの監督やコーチを現役監督が務めることも多い。ちなみに昨年と今年はコロナ禍で代表チームは招集されていないが、現在は馬淵監督がU18侍ジャパンの監督を務めている。それだけ外部の仕事が増えれば自分のチームを指導する時間は減り、チーム作りにも影響が出てくることは当然だろう。

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今年の甲子園で“面白い傾向”