※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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いぼ痔データ
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いぼ痔(痔核)の構造
いぼ痔(痔核)の構造

 肛門の病気と聞いて、だれもが思い浮かべるのは痔だろう。患者数が多く、データにはばらつきがあるが、3人に1人は痔があるといわれている。なかでもいぼ痔(痔核)は患者数が多く、痔に悩む人の約50%を占めるといわれる。主な症状である出血、痛み、肛門からの脱出があらわれたら専門科を受診して、適切な治療を受ける必要がある。

【データ】いぼ痔のかかりやすい年代は?主な症状は?

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 痔にはおもにいぼ痔(痔核)、きれ痔(裂肛)、あな痔(痔ろう)があり、いぼ痔は痔の約半数を占めるとされる。大腸の内視鏡検査でいぼ痔を指摘されることがあるが、自覚症状がなければ受診や治療をしなくてもあまり心配はいらない。

 いぼ痔は、なんらかの誘因があって肛門の奥にいぼ状のふくらみ=痔核ができる。肛門は、「肛門括約筋」や、上皮(粘膜)・間質などからなる「支持組織」と呼ばれる組織などから構成され、肛門の開閉にかかわっている。痔核はこの支持組織が病的にふくらんで、緩んで伸びたものだ。

 痔核は内痔核と外痔核に分けられる。肛門から約2センチ奥に、直腸の粘膜と肛門上皮を分ける歯状線という境界があるのだが、歯状線より内側(直腸側)にできたものが内痔核、外側(肛門側)にできたものが外痔核だ。歯状線を境に組織が異なり、外側には知覚神経があるため、外痔核は痛みを感じる。一方、内痔核は痛みを感じない。外痔核のみ、内痔核のみ、内痔核に外痔核を伴うものなど、さまざまなタイプがある。

■出血や痛みと肛門外脱出が起こる

 痔核は、(1)出血、(2)痛み、(3)痔核の肛門からの脱出が3大症状となる。

 出血は、便や拭いた紙に血が付く程度のものから、排便時にポタポタと垂れるもの、シャーッと出血して便器が真っ赤に染まるものまである。

 痛みはおもに外痔核がある場合に起こる。しかし内痔核でも、脱出するときに引っ張られて組織が裂けて痛みが起きるようなこともある。

 肛門からの脱出の程度を含めて、進行度が4段階に分類されている。

▼I度=出血が主症状で、肛門からの脱出はない
▼II度=排便時に脱出するが、自然と元に戻る
▼III度=排便時に脱出し、指で押し込まないと元に戻らない
▼IV度=常に脱出していて、指で押し込んでも元に戻らない

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