室井佑月・作家
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イラスト/小田原ドラゴン
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 作家・室井佑月氏は、政府の自宅療養をめぐるドタバタに苦言を呈する。

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 8月6日の「JIJI.COM」によると、「重症化リスクの低い新型コロナウイルス感染者を自宅療養とする新方針をめぐり、政府は、中等症患者は原則的に入院の対象とする方針を明確化した」という。

「田村憲久厚生労働相が5日の参院厚労委員会で『中等症は原則入院だ』と明言。厚労省は自治体向けの説明資料を修正し、『入院は重症患者、中等症患者で酸素投与が必要な者、投与が必要でなくても重症化リスクがある者に重点化』すると記載した」そうな。このことについて、厚労省幹部は「(自治体に送った資料の)中身を変えるつもりはないが、表現の問題があった」と釈明したらしい。

 え? 言い方なんて関係ない! コロナにかかって、苦しければ入院できるの? それとももっと苦しい人(重症患者)がいるってことで、家に帰されるの? あたしたちにとってそこがいちばん重要じゃん。

 田村さんは3日の会見でこういった。コロナの中等症の感染者は、原則、自宅療養にすると政府が決めたと。

「フェーズが変わり在宅での対応を考えざるを得ない状況だ」
「中等症以上の患者が必要な時に入院できる病床を確保することが重要で、そのための在宅だ」

 この発言が方々から非難され5日、発言を変えたわけだが、2日で医療態勢が変わった、もしくは変わるってわけでも、コロナの感染状況が変わった、もしくは変わるってわけでもない。結局、厚労省幹部のいうとおり変えたのは言い方だってか。

 てか、そもそも重症化リスクが低い中等症患者は自宅療養の方針といい出したのは菅首相だ。2日の関係閣僚会議で、いきなりこの方針を発表した。

 この閣僚会議に出席していたのは、菅首相、加藤官房長官、田村厚労相、西村コロナ担当相、赤羽国交相の5人。田村さんが前に出てきたから、いちばんたたかれているが。

 4日の衆議院厚労委の閉会中審査で、政府のこの方針、中等症以下は自宅療養について問われた、分科会の尾身会長は、

「(政府と)相談、議論をしたことはない」

 と暴露した。

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