しかし補強という意味では中田翔日本ハムから獲得した巨人がやはり大きなプラスと言える。今年は不振に苦しんでいたが、移籍後初の先発出場となった8月22日のDeNA戦では特大のツーランを放ち、プレーに問題がないところを見せている。ファーストは大ベテランの中島宏之が守ることが多く、新外国人野手の2人も退団しているだけに、中田の加入は大きなアドバンテージとなることは間違いないだろう。

 一方のパ・リーグはオリックス楽天ロッテソフトバンクの4球団の団子状態が続いている。オリックスは山本由伸、吉田正尚、楽天は田中将大、浅村栄斗、ソフトバンクは千賀滉大、甲斐拓也、柳田悠岐、栗原陵矢、マルティネスがオリンピックに参加しているが、こちらもセ・リーグと同様に今のところは大きな影響はなさそうだ。補強という意味ではオリックスがラベロ、バルガス、ロッテがロメロ、ソフトバンクがアルバレスと積極的な外国人選手の獲得が目立つ。ラベロは二軍戦で死球を受けて骨折し、他にも今のところ大きな戦力となっている選手は見当たらないが、彼らのプレーぶりが今後のチームを左右することも十分に考えられるだろう。

 前半戦に離脱していた選手の復帰という意味ではやはりソフトバンクに大きな上積みがありそうだ。千賀はオリンピックでも復調の気配を感じさせるピッチングを見せると、後半戦初登板となった8月18日の楽天戦でも6回を無失点の好投で勝利投手になっている。他にも先発では東浜巨、リリーフでは甲斐野央などが好投を見せている。野手でもまだ調子は上がっていないものの、デスパイネの復帰は明るい材料だ。

 トータルで考えると、戦力的にはやはり昨年の優勝チームである巨人とソフトバンクが一歩リードしているように見える。しかし昨年に比べると巨人は菅野が不安定な投手陣、ソフトバンクは打線が不安要素となっているだけに、一気に抜け出すことは考えづらい。両リーグともシーズン終盤までもつれる展開となる可能性が高いだろう。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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