例えば、子どもだけで家にいて地震で火災が起きた場合、大声で周りの大人たちに助けを求め、床をはうように姿勢を低くして煙のないほうに逃げることが必要だ。こうした知識を、防災訓練などを通して子どもたちに教えておけば、火災による犠牲を減らすことができる。
「そして、学校での避難訓練も全員が一斉に決められた避難場所に避難するだけでなく、逃げ遅れた人がいないか、けがをした友だちがいないかなど声をかけ合いながら避難する訓練を行うことが大切です。そうすることで、お互いの命を守る防災力を身につけることができます」(重川教授)
中林名誉教授も「自助なくして共助なし」と話す。
「行政の最大の課題は、マンパワーが足りないことです。そのため、例えば備蓄があっても運ぶ人員も車両もありません。しかし、住民一人一人が自分たちでできる自助で被害を軽減し余力が生まれれば隣人にも目を向けることができ、地域全体での共助が生まれ、さらに公助を有効に活用することもできます」
(編集部・野村昌二)
※AERA 2022年11月28日号より抜粋