東京都は9月上旬、首都直下地震による被害想定を公表した。地震発生時の建物倒壊や火災の危険度を地域別に評価している。では、地震のリスクに向き合ったうえで、どのように備えればいいのか。2022年11月28日号の記事を紹介する。
【表】東京の危ない町、安全な町は?「首都直下地震危険度ランク」はこちら
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地震から身を守るにはどうすればいいか。政府の中央防災会議委員を務めた常葉大学大学院の重川希志依(きしえ)教授(防災教育)によると、首都直下地震で命を失う主な要因は、地震の揺れによる建物などの破壊と火災。この二つに対する対策をしっかりと取ることが重要となる。
建物の破壊に備えた耐震化について、地域危険度測定調査部会で部会長を務めた、東京都立大学の中林一樹名誉教授(都市防災学)は次のように話す。
「建築基準法が改正されて81年に『新耐震基準』になりましたが、すでに40年以上が経過しています。さらに被害を減らすには、木造住宅への耐震基準をより厳しくした『2000年基準』に合わせた耐震改修も必要です」
総合危険度が「1」や「2」であっても、地震で揺れる。家具の固定、落下物への備えも必要だ。とりわけ就寝中は無防備な状態なので、寝室には大きな家具などは置かないようにしたい。特にマンションは高層階ほど揺れるので、家具は固定しガラスには飛散防止フィルムを張ったほうがいい。
火災への対応も忘れてはいけない。中林名誉教授は言う。
「地震による出火の原因の6割は、地震の揺れに伴う電気機器からの出火です。避難する際は、ブレーカーを落とす。また、大きな揺れを感知すると自動的に電気を止める感震ブレーカーも効果的です」
■自助なくして共助なし
火災が起きたら、延焼を防ぐためにも初期消火が大切。普段から隣近所と火災への対策を相談しておきたい。
大地震が起きたら冷静ではいられない。だからこそ、重川教授は(1)自分の命は自分で守る(2)皆で助け合い互いの命を守り合う──という防災教育が子どもの時から大切になると指摘する。